空想リクライニング

お気に入りのいすに座ってボーッと空想して、気づいたこと

子どもと本 / 松岡享子

子ども時代は、どの子も幸せでなくてはなりません。 本は、子どもを幸せにするひとつの手立てなのです。 ー アイリーン・コルウェル

読書は子どもを幸せにする一つの手立て という考え方は、私自身を振り返ってもそのとおりだと感じる。 本書では子どもと本との接し方について、筆者の考えが述べられている。 私は最近第一子を授かった弟にこの本を紹介した。

特に参考になったのは以下の3点。

  1. 字が読めない乳幼児期において、子どもが本を読んでいる時に子どもの中で発生している現象の観察と解説。例えば、子どもがぼんやりとしているときは、心の中で空想を働かせて内容の消化をしているということ、「とばし読み」は子どもの特技で、手前の「分からないこと」を飛び越えて直接その奥にある「核心」に触れることができる独特の直感力がこの時期の子どもにはあるということ。

  2. 子どもと本との出会いをどのように助ければ良いか。筆者は乳幼児期から積極的に本に接するよう努力するよりも、まずは言葉の土台を作ることの方が重要。この土台を作るのは親と子どものコミュニケーションであり、子どもは親とのやり取りや遊びの中で互いの意思疎通が可能出ることを確認し、自分の意思が分かってもらえるという安心感・信頼感を得ることで、特定の動作や音声を特定の反応を引き起こす手段として使うようになる(意図的道具性)。また、その手段を身の回りの大人達との間で相互に理解し合って使えるようになっていく(協約性が高まる)。意図的道具性と協約性の二つがことばの成立の条件とされている(岡本夏木氏)。

  3. 読書興味の四段階。第一が「韻律のある物語や詩を喜ぶ時期」で生まれてから3歳〜4歳まで。第二が「生活に根ざした現実的な物語を楽しむ時期」で3、4歳から5、6歳。第三が「空想的な物語に向かう時期」で4、5歳から8、9歳。第四が「神話、伝説、英雄物語などに興味を示す時期」で11、12歳から15、16歳頃。それぞれに設定の背景がある。詳しくは本書を参照。

子どもと本 (岩波新書)

子どもと本 (岩波新書)